児童館を中心とした社会的ニーズへの対応及び必要な
ネットワーク構築に関する調査研究
(好事例集)
本調査研究は、地域の社会的ニーズに対する重要な役割を担っている児童館の 取組を質問紙調査、ヒアリング調査により収集、分析・検証し、好事例集の作成 や地域のネットワーク形成方法等を提案することを目的としました。
本事例集は、ヒアリング調査部分を抽出したものです。各地の自治体あるいは 児童館、関係団体が実施している事業や取組体制などをヒアリングし、まとめて います。各自治体・児童館でご参考にしていただき、児童館が更に地域の社会的 ニーズの解決のために力を発揮いただくことの一助になればと思っております。
○ヒアリング調査について
平成28年度に実施した「全国児童館実態調査」と今年度の「児童館による地域ニーズ への対応に関する調査」等の結果、先行研究、関係機関からの資料を参考にし、以下のポ イントを元にして選定しました。
・地域ニーズへの対応に関して特徴的な活動のある児童館 ・中核的機能を有し、施策面で特徴的な児童館ならびに自治体 ・ネットワーク構築に力を入れ、効果をあげている児童館 その他
調査対象:8ヶ所(訪問6ヶ所、招聘2ヶ所)、方法:半構造化面接。
所在地 ヒアリング先 設置運営 方法
1 北海道 千歳市
千 歳 市 こ ど も 福 祉 部 子 育 て 総
合支援センター児童館係 行政 公設公営 訪問
2 北海道
中標津町 中標津町子育て支援室 行政 公設公営 招聘
3 東京都
葛飾区 葛飾区子育て支援部育成課 行政 公設公営 訪問
4 東京都 品川区
品 川 区 こ ど も 育 成 課 児 童 相 談
係 行政
公設公営(直営
/部分委託) 訪問
5 兵庫県
宝塚市 宝塚市立安倉児童館 児童館 公設民営 訪問
6 京都市 公益社団法人
京都市児童館学童連盟 調整団体
公 設 民 営 / 民 設
民営 招聘
7 香川県
丸亀市 東小川児童センター
児童
センター 公設民営 訪問
8 沖縄県
豊見城市 真嘉部コミュニティセンター 児童館 公設民営 訪問
1.北海道千歳市・子育て総合支援センター
①児童館の概況
千歳市子育て総合支援センター(以下、文
中は本センターと略して表記する)は、北海
道千歳市に所在する。千歳市は、人口 96,384
人(平成 29 年1月現在)、面積 594.50km2、合 計特殊出生率 1.53(平成 26 年)、出生率 9.8
(平成 24 年、人口千人あたり)の道央圏の中
核都市である。千歳市の児童館は9か所、放
課後児童クラブ(以下、児童クラブと略して
表記する)は 15 か所存在する(平成 28 年4
月現在。平成 30 年 4 月より2か所児童クラ
ブ を 新 規 開 設 予 定 )。 全 9 か 所 の 児 童 館 は 公
設公営であり、児童クラブの実施と子育て支
援センター機能を有している。本センター内
に は 、 ち と せ っ こ 児 童 館 が 併 設 さ れ て お り 、
ち と せ っ こ 学 童 ク ラ ブ の 実 施 や 子 育 て 支 援
セ ン タ ー で あ る ち と せ っ こ こ ど も セ ン タ ー
とこども園が併設されている。
○自治体における児童館/子育て支援施策の特徴的活動について
千歳市は、”子育てするなら、千歳市”を
キャッチフレーズに、妊娠・出産・子育ての
切れ目のない支援を実施し、子育て世代が幸
せ を 実 感 で き る 子 育 て の ま ち を 目 指 し て い
る。この具体的な子育て支援施策として 38 事
業が開始されている。特に、①ちとせ子育て
コンシェルジュ(2か所の子育て支援センタ
ー に お け る 子 育 て コ ン シ ェ ル ジ ュ の 配 置 )、
②ままサポート(主に未就学児を対象とした
家 庭 へ の 訪 問 型 子 育 て 支 援 の 実 施 )、 ③ ち と
せ版ネウボラ、④ランドセル来館、⑤中高校
生タイム(全9か所の児童館において開館時
間 を 1 時 間 延 長 し て 中 高 校 生 の た め の 時 間
を設定)、⑥障がい児のための「インクルージ
ョン保育」(保育所等訪問支援事業、巡回支援
専門員整備事業の実施)、⑦いいお産の日 in
ちとせ(出産・育児に関する総合イベントの
開催)、⑧転入親子ウェルカム交流ツアー(転
入 3 年 以 内 か つ 1 歳 か ら 就 学 前 の 子 ど も を
もつ保護者を対象として、子育て支援センタ
ーや市立図書館、水族館の見学や親子交流会
の実施を目的としたツアー)⑨企業連携ぷち
ゼミ(子育て支援連携事業の実施)などに力
を入れている。千歳市内の児童館では、ラン
ド セ ル 来 館 な ら び に 自 由 来 館 を 実 施 し て い
る。児童の長期休暇中は、自由来館の際に弁
当 を 持 参 し て 児 童 館 で 食 べ る こ と が で き る
長期休みランチデー事業を実施している。
②館(課)が把握している地域ニーズの中で、最も重点的に対応している理由について
千歳市では、子育て支援について重点的に
対応している。この背景として、千歳市は自
衛 隊 が 3 部 隊 あ る こ と や 新 千 歳 空 港 の 所 在
地であること、工業団地が 11 カ所と約 250 社
以上の企業が立地していること、さらに公務
員の多さなども相まって、年間約 6,000 人の
方が転出入する、いわゆる”転勤族の町”と
千歳市のことを何も知らず、地縁血縁・知人
等 が い な い 中 で 孤 立 し て し ま う 家 庭 が 非 常
に多いため、子育ての不安や悩みを解消する
必要があるとのことであった。また、景気の
回復傾向や市内に工業団地や空港、さらには
イ ン バ ウ ン ド の 急 増 に よ る ホ テ ル の 新 増 設
ラッシュも重なり、雇用が増えているという。
そのため、女性の就業率の上昇とともに、早
め に 保 育 園 等 に 子 ど も を 預 け る こ と を 希 望
する家庭が増えていることから、子育て支援
セ ン タ ー 利 用 者 の 低 年 齢 化 に 対 応 す る 必 要
があった。さらに、平成 24 年に子ども・子育
て関連3法の成立や子ども・子育て支援新制
度 に 向 け た 取 り 組 み を 開 始 す る 必 要 が あ っ
た。
③館(課)における具体的な活動内容について
千歳市は、2か所の子育て支援センターに
おいて、子育てコンシェルジュを各2名配置
している。これは、転入により千歳市のこと
を何も知らない、知人や友人がいない孤立し
が ち な 家 庭 の 子 育 て の 不 安 や 悩 み を 解 消 す
るための支援員である。具体的な取り組みは、
幼稚園や保育園、認定こども園に出向き情報
を集め、資料にまとめたうえで、教育方針や
申 し 込 み 方 法 な ど の 各 施 設 の 特 長 を 情 報 提
供している。また、「ままサポート」事業とし
て、1回につき2時間程度、子育て支援セン
タ ー に 出 向 け な い 方 や 双 子 や き ょ う だ い を
連れての施設利用が難しい方、初めての利用
は 緊 張 し て な か な か 気 軽 に 来 ら れ な い 方 な
どの自宅を訪問し、自宅で子どもを見ながら
じ っ く り 相 談 を 受 け た り 、 施 設 ま で の 同 行 、
初 め て の 離 乳 食 や 沐 浴 な ど の サ ポ ー ト 支 援
を実施している。さらに、子育て支援センタ
ー の 行 事 や 定 期 健 診 な ど に 子 育 て コ ン シ ェ
ルジュが出向き、写真付きの名刺やパンフレ
ットを配布して顔を知ってもらうことで、子
育 て に 関 す る ワ ン ス ト ッ プ 窓 口 の 役 割 を 担
っている。
千歳市の各児童館は、主に3つの特徴があ
る 。 1 つ は 、 ラ ン ド セ ル 来 館 の 実 施 で あ る 。
平成 25 年に試行的に、児童クラブに入れな
い 児 童 は 親 の 仕 事 を 考 慮 し た う え で ラ ン ド
セル来館を案内していた。しかし、児童クラ
ブ で は な く ラ ン ド セ ル 来 館 を 希 望 す る 利 用
家庭のニーズが把握されてきた。利用者の声
を取り入れ、平成 26 年より全児童館でラン
ドセル来館を実施している。その際、児童館
利 用 者 の う ち ラ ン ド セ ル 来 館 や 自 由 来 館 は
あくまでも現場職員の見守りとし、生活や遊
び の 提 供 等 の 育 成 支 援 が 必 要 な 場 合 は 児 童
ク ラ ブ を 利 用 し て も ら う こ と で す み 分 け を
している。実際は、学年や親の就労状況、利
用 頻 度 に よ っ て す み 分 け を 行 っ て い る と の
ことであった。また、ランドセル来館を導入
した際に、保護者の就労状況を考慮して利用
就業条件の緩和や、保護者等の急病により家
庭 で 見 ら れ な い 場 合 の 緊 急 一 時 利 用 な ど も
取り入れている。児童クラブ利用者数は横ば
いに対して、ランドセル来館登録者数は年々
増えているという。そのような状況に対応す
るために、定員の緩和やランドセル来館担当
職員の配置の工夫を行っている。つまり、保
護者の就労状況や家庭のニーズを聞き、取り
入れて、子どもの居場所づくりや保護者が労
できる仕組みづくりをしている。
2つめは、児童館内でのランチデーの開催
である。千歳市の児童館では、小学生の夏季
休暇などの長期休暇中に、持参した昼食を食
べる場を提供している。これは、保護者の就
労 時 間 が 非 常 に 短 い 場 合 や 小 学 校 高 学 年 で
自由来館の子どもを主対象者としている。ラ
ン ド セ ル 来 館 の 場 合 に 行 き 来 で き る の は 児
童館敷地内だけであるため、公園などを行き
来 す る な ど 活 動 範 囲 が 広 い 子 ど も に と っ て
の ラ ン ド セ ル 来 館 の 緩 和 を 狙 い と し て い る 。
加えて、ランチデーを紹介することで、申込
期 限 に 遅 れ た 方 へ の 不 満 解 消 に も つ な が っ
ている。また、2か所の子育て支援センター
で 子 育 て 家 庭 向 け の 毎 日 ラ ン チ デ ー を 開 催
している。以前は児童館や子育て支援センタ
ー施設内の飲食は禁止であったが、親子にと
っ て 食 事 を し な が ら 交 流 す る 機 会 を 設 け る
ために、平成 26 年より月に 2 回程度のラン
チデーを始めた。平成 28 年 10 月より毎日ラ
ンチデーとして実施している。この設定によ
り、終日利用者がお弁当を持って昼食をとり
午後も遊んでく親子など、子どもの状況に応
じ た 利 用 が で き る よ う 幅 を 広 げ て い る と い
う。
3つめは、中高生タイムの実施である。ラ
ンドセル来館の仕組みを作る際に、行ったこ
との1つが中高生タイムである。これは、仕
組 み を 作 っ た 際 に 中 高 生 の 児 童 館 利 用 が 多
かったため、児童館閉館前1時間は中高生専
用 の 時 間 帯 と し て 中 高 生 専 用 タ イ ム を 設 け
た。
その他、千歳市はホームページやブログな
ど に よ る 情 報 発 信 に 力 を 入 れ て い る 。 ま た 、
行事の際に報道機関に取材に来てもらい、行
事 の 案 内 を 載 せ て も ら う こ と で 来 館 促 進 を
図っている。
④活動を開始するきっかけについて
活 動 を 開 始 す る き っ か け と な っ た 出 来 事
の1つは、千歳市が”子育てするなら、千歳
市 ” と い う キ ャ ッ チ フ レ ー ズ を 掲 げ る 際 の 、
児 童 ク ラ ブ の 待 機 児 童 問 題 が あ っ た と い う 。
加えて、児童クラブの対象年齢が6年生まで
拡大になる時期であり、どのように6年生ま
で の 子 ど も を 既 存 の 施 設 で 受 け 入 れ て い く
のかを政策会議で検討していった。その中で、
建物の増築や室内レイアウト変更など、受け
入 れ が 可 能 と な る 方 法 を 模 索 し て い っ た と
ころ、東京都目黒区のランドセル来館の話が
1つの取っ掛かりになった。
2つめは、既存事業の見直しを行うととも
に、新規事業を立ち上げた。その際、児童館・
学 童 ク ラ ブ 指 導 員 に 実 施 の 根 拠 や 必 要 性 を
説 明 す る こ と で 指 導 員 が 納 得 で き る よ う に
しつつ、モチベーションが上がるよう、職員
が 一 体 と な っ て 事 業 を 始 め ら れ る よ う に 工
夫した。ランドセル来館導入時には、東京都
目 黒 区 に 見 学 に 行 く な ど 精 力 的 に 活 動 し た 。
⑤活動を実施するうえでの連携相手と連携方法について
各 児 童 館 に お け る 地 域 ニ ー ズ が 発 生 し た
場合の対応として、各児童館の現場職員から
本 セ ン タ ー の 児 童 館 担 当 職 員 に 連 絡 が 入 る
の児童館担当職員がキーパーソンとなり、児
童館まつりやいいお産の日など、本務に係る
各イベントを通して、保健福祉部局の保健師
や民生・児童委員など、関係機関・関係施設
あ る い は 関 係 者 と の つ な が り を 構 築 し て お
り、連携事業等における協力やサポートがス
ムーズに対応できている。さらに、児童館担
当職員は、日頃から各児童館や児童クラブを
巡視し、ランドセル来館などを始める際に学
校に足を運び丁寧に説明を行うことで、問題
が 起 こ っ た 際 に 保 護 者 や 学 校 な ど と の 調 整
が可能な体制を構築してきた。
子 ど も に 係 る 地 域 ニ ー ズ に 対 応 す る た め
には、学校や専門機関との連携が必要になる。
以前は、不登校児が児童館に来館しているこ
と に 対 し て 学 校 側 か ら 問 題 視 さ れ る こ と が
あったものの、連絡を取り合うようになった
現 在 は 、 学 校 側 が 理 解 を 示 し て い る と い う 。
そのため、子どもを家庭児童相談室やカウン
セリング、教育相談員につなげるために、学
校 と 連 携 を 取 り 合 う こ と も し て い る と い う 。
また、児童クラブや児童館利用児童の児童虐
待に関する対応として、関係者会議や要保護
児 童 対 策 地 域 協 議 会 に 学 童 ク ラ ブ 指 導 員 や
児童館の現場職員、児童館担当職員が一緒に
参加しているという。そのような気になる子
どものケースでは、子どもの見守りのために
本 セ ン タ ー か ら 現 場 の 指 導 員 に 伝 え る と と
もに、情報共有のための会議を開催すること
で対応している。また、児童館担当職員が児
童館や児童クラブに実際に出向いて、心配な
身 体 的 状 況 が あ る 場 合 は 複 数 で 確 認 し な が
ら、現場職員に負担がかかりすぎないようサ
ポートしながら体制を整えている。
児 童 館 の 現 場 職 員 か ら 児 童 館 担 当 職 員 に
上がってきたケースは、子育てコンシェルジ
ュや保健師につなげるケースもある。子育て
コンシェルジュは、子育て支援センターの行
事や定期検診への参加、幼稚園・保育園・認
定こども園に出向き情報を集めることで、つ
ながりをもっている。定期検診への参加等に
より母子保健部門とも連携しているため、専
門 的 な 相 談 が 必 要 な 場 合 は 市 の 保 健 師 や 他
機関につなげている。保健師は、本センター
から情報確認をした際、既に関わっているケ
ースが多いため、保健師との連携場面が多い。
このように、地域ニーズに対応するためには、
他機関・他部署等との連携が必要である。そ
の た め 、 本 セ ン タ ー が 中 心 と な り 、 年 に 3 、
4 回 程 度 、 幼 稚 園 、 保 育 園 、 認 定 こ ど も 園 、
行政、民生・児童委員、育児サークルなどが
集まり、子育て支援関連の情報共有の機会を
設けている。加えて、必要なケース会議や打
ち合わせ、情報共有は常に行うことで、子育
て支援関係のネットワークを中心に、連携体
制を整えている。
⑥活動の効果・成果(地域ニーズに対応するネットワークの構築に至る経緯も含めて)
主な成果の1つとして、切れ目のない支援
体制の構築がある。子育てコンシェルジュの
導 入 や ま ま サ ポ ー ト の 導 入 な ど の 制 度 を 整
えるとともに、各機関・施設等との連携体制
を構築した。これにより、電話相談や本セン
タ ー に 来 館 し て 相 談 を 受 け る ケ ー ス に つ な
がり、孤立家庭の予防に寄与していると考え
られる。また、関係機関・施設等との密な連
携により、学校などこれまで連携できていな
きるようになるとともに、児童相談所等の他
機関につなぐことができている。そして、例
え ば 不 登 校 の 子 ど も が 学 校 に 行 く よ う に な
るなど、子どもへの支援に直接寄与している。
また、児童館が市内に点在しており、身近
な拠点となっていることが挙げられる。児童
館 の こ れ ま で の イ メ ー ジ で あ っ た 小 学 生 の
(児童クラブの)遊び場・居場所だったもの
を、子育て支援センターを全ての児童館で展
開 す る と い う こ と を 積 極 的 に 周 知 広 報 す る
ことで、特に未就学の在宅子育てをしている
市 民 に と っ て 、 頼 り や す い 場 と な っ て い る 。
千歳市の人口構造や転出入が多い状況、冬期
の 遊 び 場 対 策 を 考 え て も 効 果 的 に 働 い て い
る。
主な成果の2つめとして、居場所づくりと
保護者支援がある。児童館においてランドセ
ル来館やランチデーを始めたことで、まずは
子 ど も や 保 護 者 の 居 場 所 づ く り に 寄 与 し て
いる。親の働き方に応じて来館方法を選べる
ことにより、保護者が安心して仕事ができる
仕組みづくりをしている。また、子どもの遊
び環境としても、選択肢が増えることは望ま
しいことである。児童館を利用拠点としなが
ら、地域で生活する児童を支えることができ
ている。
また、児童館の敷居の低さから、不登校や
非行傾向、家庭で居場所がない子どもにとっ
て安心して過ごせる居場所ができる。そのこ
とにより、児童館の現場職員は子どものニー
ズをキャッチでき、見守りだけではなく他機
関につなぐことができている。
⑦活動の課題について(地域ニーズへの対応、ネットワークの構築について)
今 後 活 動 を 活 発 化 し て い く う え で の 課 題
として、まず、人材確保の問題がある。千歳
市 の 全 9 児 童 館 の う ち 7 児 童 館 は 非 常 勤 職
員のみで運営している状況である。また、非
常勤職員は働き方を選べるものの、長時間働
きたい、正規職員として働きたいというニー
ズもあるという。保育士不足という現代にお
いて、職員のニーズに答えつつ、どのように
人材を確保していくのかが課題である。また、
子 ど も の 貧 困 や 児 童 虐 待 な ど の 地 域 ニ ー ズ
については、児童虐待の担当課や本センター
職員などが状況を常に把握し、情報共有をし
ながら対応をしている。しかし、上述の通り
児 童 館 運 営 を 非 常 勤 職 員 で 賄 っ て い る た め 、
継 続 的 に 子 ど も の 見 守 り を 行 う 際 は 勤 務 経
験 の 長 い 非 常 勤 職 員 に 依 頼 す る こ と が 多 く
なっている。加えて発達障がいをもつ子ども
が増えている中で、様々な研修会を開催する
こ と で ス キ ル ア ッ プ を 目 指 し て い る も の の 、
研修時間は勤務時間となるため、児童館で勤
務する時間の調整が必要になる。地域ニーズ
に 現 場 の 職 員 が ど の よ う に 対 応 し て い く の
か、働き方も含めて今後さらなる体制づくり
が求められる。
⑧今後の活動に関する展望
千歳市では、切れ目のない支援を目標に取
り組んでいるものの、本センターや児童館の
ような場所に来られない、いわゆる孤立した
家 庭 が ど の 程 度 い る の か 不 明 で あ る と い う 。
子 育 て コ ン シ ェ ル ジ ュ へ の 電 話 が あ っ た 際 、
況におかれている方もいるという。そのよう
な 方 々 へ 対 応 で き る 体 制 づ く り を 今 後 さ ら
に進めることで、児童虐待などの地域ニーズ
の予防になると考えられる。
児童館活動に関しては、継続的な子どもた
ちの居場所づくりである。不登校や居場所が
ない子のケースがあった際、児童館は常に受
け 入 れ ら れ る 体 制 や 見 守 り 体 制 が あ る こ と
が 存 在 意 義 で あ る と の こ と で あ っ た 。 ま た 、
障 が い な ど を も つ 子 ど も が 地 域 で 生 活 す る
ために受け入れ体制が大切であるという。つ
まり、どのような環境におかれた子どもであ
っ て も 受 け 入 れ る こ と で 子 ど も が 安 心 で き
る場所であること、そして、児童館は本人の
状 況 に 合 わ せ て 対 応 で き る 体 制 づ く り の 継
続性が必要であることが示された。
千 歳 市 の 児 童 館 で の 取 組 は 全 国 各 地 の 先
駆的に実施されてきた活動を、市の事情に合
わせながら、柔軟に変化させて取り込んでい
ると感じた。今後も新たに発生するニーズと
全 国 の 児 童 館 や 子 育 て 支 援 施 策 を キ ャ ッ チ
し、うまくマッチングさせ、持続可能なもの
としていくことが期待されている。
2.北海道中標津町
①中標津町の児童館等の施策について
北海道中標津町は、北海道東部にある酪農
を主産業とする町である。空港があり、観光
等 の 玄 関 口 と し て の 役 割 も あ る 。 人 口 は
23,661 人(平成 29 年 12 月末現在)となって
いる。人口は微減傾向にある中、世帯数が1
万を超えて増加しており、核家族化、ひとり
親、単身家庭の増加が窺える。婚姻率は全国
平均程度ながら、離婚率が高い。農業地域で
はあるが、近隣町村における商業地域でもあ
り、空港や観光等の関連産業もあることから、
ひとり親家庭の流入も多い。母子家庭率は道
内でも高く、保育ニーズも高いのが特徴的で
ある。
町 は 子 育 て 支 援 の ワ ン ス ト ッ プ サ ー ビ ス
として、子育て支援室を設置し、子育てに関
する業務(計画策定、保育、児童館、児童手
当、医療給付等)を集約している。児童館は
公設公営5館、うち1館は平成 27 年に中核
的な児童センターとして整備されている。館
長は子育て支援室長が兼務し、職員は正職員
1名(児童センターに配置)以外全て嘱託職
員で運営している。
教育環境としては、小学校4校、中学校2
校、義務教育学校1校、高等学校2校、高等
養護学校1校。放課後児童クラブ(以下、児
童クラブ)は全て直営で、児童館に併設され
ている。利用料は無料であり、全就学児童に
②中標津町における児童館/子育て支援施策の特徴的活動について
児 童 館 を 拠 点 と す る 子 育 て 支 援 体 制 の 構
築が特筆する点である。特に、要保護児童や
家 庭 に 対 す る 支 援 で の 現 場 最 前 線 で の 役 割
を担っている。
具体的には、図に示す「中標津町子育て支
援・虐待防止ネットワーク」(要保護児童対策
地域協議会)において、児童館の位置づけを
地 域 に 密 着 し た 受 入 直 接 的 支 援 の 拠 点 で あ
ると考えている。児童館職員も理解の上、情
報を共有し、適切な対応に努めている。
また、コミュニティにおける子育て支援の
拠点として開かれており、地域住民が参画す
る取組が多く展開されている。それによって、
地域の児童を地域住民が見守り、共に育むこ
とを仕掛けている。
例えば、趣味や特技を生かしたボランティ
ア「チャイルドアドバイザー制度」(団体・個
人 20 組が登録)、地域住民との交流機会や食
育のサポートをする「児童館菜園たがやし隊」
などによる児童館活動への協力・参加がある。
また、毎年2千人が参加する「じどうかん祭
り」では子どもが企画したものを、大人実行
委員会がサポートする形で実施。あるいは学
力低下の課題に対して、長期休業中には町民
有志と共催しての「児童館てらこや事業」を
立ち上げている。現在では中学生・高校生が
活動に参画し、小学生の学びをサポートして
いる。
これら全て、多世代の町民のボランタリー
な 参 画 が あ っ て こ そ 実 現 で き て い る 事 業 の
一端である。
図.中標津町子育て支援・虐待防止ネットワーク
子育て支援・虐待防止
ネットワーク
事務局 中標津町子育て支援室
病 院
小・中学校
民生・児童委員 保健センター
保健所 中標津警察署
釧 路 児 童 相 談 所
保育所 教育委員会
青少年相談センター
幼稚園
ケース検討会議(随時)
事例に応じて関係厚生員を召集・検討 全体会議(年1回)
1年間の報告
児 童 館
子育て支援センター
施設・里親
児童デイサービス
間接的支援を担当
受入直接的支援を担当
措置・解除
通告(一時保護) 保護解除
平成 27 年度には、児童館機能、中学生・高
校生の交流や活動の拠点となる機能、並びに
子育て家庭への支援機能を持つ、0~18 歳ま
で を 対 象 と し た 児 童 健 全 育 成 の 核 と な る 中
標津町児童センター「みらいる」が建設され
ている。この建設には、地域の中学生・高校
生による「建設プロジェクトチーム」を結成
して、『ありのままの自分でいられる場所』を
基本コンセプトとして、基本構想、設計、建
物 内 外 の 配 色 に 至 る ま で 要 望 や 意 見 を 取 り
入れた施設建設を推進している。児童館の利
用者実績も増える中、利用主体である子ども
た ち か ら の 意 見 は 議 会 で も 好 意 的 に 受 け 入
れられ、建設に弾みがついた。
教 育 委 員 会 で 所 管 し て い た 最 後 の 年 度 で
ある平成 13 年度には3万8千人ほどだった
利用者数(全館の合計数)は、15 年間毎年増
加し、平成 28 年度には 10 万人を突破した。
町 民 が 多 様 な 形 で 参 加 す る 機 会 を 得 ら れ た
ことにより、利用が促進されてきた結果と見
て取れる。
③館(課)が把握している地域ニーズの中で、最も重点的に対応している理由について
要保護児童の支援に力を注いでいる。小型
児童館では、利用児童のうち児童クラブ利用
児童が7割を占めており、福祉的な支援を要
する児童・家庭については児童クラブへの登
録を促し、継続的に観察と支援を行っている。
児童クラブの運営にあたっては、自由来館児
童 と 一 緒 に 過 ご す こ と を 意 識 的 に お こ な っ
ており、さまざまな活動(実行委員会、クラ
ブ等)も両方の児童が参加できるようにして
いる。保護者の就労状況や抱えている課題を
理由に居場所をわけることなく、子どもたち
の 人 間 関 係 を 維 持 す る こ と を 基 本 と し て い
る。人口の偏在もあり、地域によっては小学
生の人間関係が濃く、学校内から放課後まで
共 に 過 ご す メ ン バ ー が 変 わ ら な い こ と も あ
る。そのため、異年齢も含めて多様な関わり
があること、また地域住民との接点を多く持
つことによって、心理的、社会的な発達を促
すことにもつなげていると言える。
要 保 護 児 童 支 援 へ の 対 応 の 観 点 だ け で は
なく、中標津町の児童館が重要視しているの
は「発生予防」である。課題の早期発見・早
期対応を繰り返していても、根本的には解決
しない。児童の健全育成活動そのものに予防
的効果があると考え、全国公募のパイロット
的 な 事 業 に も 参 画 す る な ど 積 極 的 に 中 標 津
モデルの構築を目指している。
例えば、『赤ちゃんボランティア』の登録が
ある。児童館を利用する乳児親子に登録して
もらい、中学校での「ふれあい交流」を実施
している。全中学校で実施されており、町内
で育つ全ての子どもたちが、結婚・出産まで
に 必 ず 一 度 は 赤 ち ゃ ん と の ふ れ あ い が で き
るようにしている。10 年以上継続する中で、
中 学 生 だ っ た 子 が 母 親 と な り 今 度 は ボ ラ ン
ティアとして、赤ちゃんだった子が中学生と
な り 体 験 者 へ と な る と い う 循 環 が 生 ま れ て
いる。また、中学生・高校生世代と母親との
自然な交流が生まれ、町内での助け合いや言
葉の交わし合いが生まれている。
また、『こんにちは赤ちゃん家庭訪問』事業
がある。町保健センターが実施する新生児訪
問とは別に実施している。児童厚生員等が家
し、できる限り児童館への来館を直接、児童
館職員が実施することがポイントである。声
を 掛 け て く れ た 人 が そ こ に い る と い う こ と
がきっかけとなり、一歩外へ出る、あるいは
継 続 し て 児 童 館 へ 通 お う と す る モ チ ベ ー シ
ョンにつながっている。
これらの取組は、児童館からアウトリーチ
することにより、児童館が持つ予防的機能を
活性化させると考えている。
④活動を開始するきっかけについて
平成 12 年に、子育て支援・要保護児童対策
に 関 す る 担 当 窓 口 と し て 現 室 長 は 着 任 し た 。
町で初めて窓口を設定したことにより、多く
の相談ケースを抱えることとなった。周りの
資源を活用しながら対応してきたが、これま
で担当したこともなく、専門的な資格を保有
し て い る わ け で も な く 、 試 行 錯 誤 し て い た 。
役 所 の 窓 口 で で き る こ と に は 限 界 が あ る と
認識し、子どもたちを対応する現場を持つ必
要性を感じた。庁内にある資源を見たときに、
「 子 ど も た ち の あ り の ま ま の 姿 を 見 る こ と
ができる」「評価をしない」「遊びのなかで家
庭の状況が見える」児童館に着目した。当時、
児童館は教育委員会に所管されており、放課
後の児童の受け入れ場所にとどまり、現場も
児童館機能の最大化ができていなかった。老
朽化も相まって、廃止の構想もあった。そこ
を福祉課に移管し、機能を最大限に活用する
施策面での整備、職員の意識変容する両面に
取り組んだ。
まず、平成 15 年に「次世代育成支援行動
計画」を策定する際に、児童館を子育て支援
の拠点として設定した。乳幼児対応の子育て
広場から小学生の自由来館、児童クラブ、中
高 生 の 活 動 ま で 一 連 の 事 業 体 系 が で き て き
た。
そこで課題となったのは、職員に関するも
のである。まずは、全てが嘱託職員化されて
いるなかで、勤務時間に限りがあり、打ち合
わせもままならない状況があった。また、社
会保障面、なおのこと報酬面では十分ではな
かったようである。まずは職員の体制を整え
ていくことが先決と考え、勤務時間、職員数
の見直し(増加)を図っている。これにより、
報 酬 等 で 雇 用 の 安 定 に つ な げ よ う と 努 力 し
た。職員の安定から始め、事業を安定させよ
うとした取組である。
その上で、研修に力を入れた。当時、町の
嘱託職員には研修旅費、特に北海道外に出る
ものは認められていなかった。これを財政部
局と交渉し、一般財団法人児童健全育成推進
財 団 が 実 施 す る 児 童 厚 生 員 等 基 礎 研 修 会 へ
参加させることとした。町外の児童館の様子
を見ることができ、先駆的な事例や児童館施
策に関する情報を仕入れて、自館の活動にい
かせるようになった。更に、外からの目でわ
が 町 の 児 童 館 を 考 え る こ と が で き る よ う に
なったことが、大きいと語る。それは、職員
の 大 き な 意 識 改 革 と 道 内 外 の 関 係 者 と の 人
的ネットワーク構築から証明できている。
⑤活動を実施するうえでの連携相手と連携方法について
こともあり、その際には、子育て支援室、児
童 館 、 児 童 相 談 所 が 連 携 し て 実 施 し て い る 。
また、一時保護解除時には、関係性の維持や
当該児童の心理的な面への配慮として、児童
館 職 員 が 一 時 保 護 所 へ の 引 き 渡 し に 同 席 す
ることもある。そのことにより、児童が安心
して、また児童館(児童クラブ)へ通えるよ
うにするということもあるし、児童相談所と
し て も ど こ が フ ォ ロ ー ア ッ プ し て い る の か
を 児 童 館 職 員 の 顔 を 見 る こ と で 安 心 す る と
いうこともある。
学校との連携も重要である。学校の教諭が
児童館に来ることも多く、また児童館職員も
参 観 日 な ど に は 積 極 的 に 参 加 し 学 校 で の 様
子を観察している。また、情報共有の機会も
設けており、4月には必ず児童館との会議を
各学校で実施している。
不登校児童、発達障害のある児童の利用も
あり、学校と連携し、その居場所づくりにも
力を注いでいる。児童館は赤ちゃん訪問から
担当しているため、0 歳から関わりのある子
どもが多い。そのため、子どもたちの発達過
程に寄り添っており、職員と保護者との関係、
職 員 と 子 ど も の 関 係 が 構 築 さ れ て い る こ と
から、対応がしやすい面がある。
こ れ ら の 関 係 性 を 取 り 持 っ て い る 子 育 て
支援室の役割は大きい。児童館が独自につな
がれる部分もあるが、町役場からの働きかけ
が有効な場合も多い。児童相談所への通告も
全て子育て支援室が担っている。学校も児童
館も安心して情報を共有し、子どもを守るこ
とを第一に、そして子どもたちが一時保護な
ど か ら 戻 っ て き て も 生 活 す る 場 、( 学 校 や 児
童館)を守ることにも努力している。
⑥活動の効果・成果(地域ニーズに対応するネットワークの構築に至る経緯も含めて)
所管課(子育て支援室)が児童手当、要保
護 児 童 対 策 地 域 協 議 会 等 の 業 務 を 一 括 し て
担当していることから、児童館とやりとりし
ている情報が有機的につながり、支援体制を
構築しやすい状況にある。児童館では遊びや
子 ど も と の 会 話 の 様 子 か ら 家 庭 状 況 の 変 化
をつかんでおり、逐一所管課に情報が上がっ
ていくようにしている。情報を受けた際には
所 管 し て い る 事 業 ( 児 童 扶 養 手 当 や 保 育 等 )
で 把 握 し て い る 家 庭 状 況 と の 差 異 を 確 認 し 、
児 童 館 に 対 し て 適 切 に ど の よ う な 点 で 見 守
りをするのかを指示している。
放 課 後 児 童 ク ラ ブ や 子 育 て 広 場 の 活 動 の
利用は無料であり、特定の課題を有した子ど
もや家庭にとっては、利用しやすい環境が整
備されている。一時保護解除後などの見守り
が継続的に必要な家庭に対しては、利用を強
く勧めることができる。また、貧困対策の学
習支援のように写る「てらこや事業」につい
ても、対象者を限定することなく、全ての希
望者を対象にしており、“特定課題児童・家庭
を対象とする施設”とのイメージを持たせな
いことを児童館で実現している。
小 学 生 の ひ と り 親 家 庭 の 約 25% は 児 童 館
利用経験があり、中学生・高校生世代におい
ても近い割合にある。課題を抱える可能性が
ある児童の一定数の利用が見られる。
職員の雇用の問題がある。児童館は福祉課
題の発生予防・早期発見やその後のフォロー
アップ等重要な役割を果たしているが、職員
体制としては嘱託職員が中心であり、その雇
用 の 維 持 が 課 題 と な っ て い る 。 町 と し て は 、
待遇(報酬額)改善、職員増員、超過勤務手
当 の 支 給 な ど に よ る 働 き や す さ の 向 上 を 行
ってきている。しかし、経験年数が5年を超
え る 職 員 も 多 く 、 無 期 転 換 の 必 要 性 が あ る 。
こ の よ う な こ と を 背 景 に し て 民 営 化 も 検 討
されるところだが、個人情報保護の観点から
も 直 営 を 維 持 し て い き た い と の 考 え で あ る 。
しかしながら、町民でもある職員としては難
しい局面に立つこともあり、所管課による職
員を支える体制が重要である。なお、児童館
長は兼務であるが、1週間に1回、児童館職
員との会議ができるようになっており、職員
の様子を見ること、そして職員からの現場の
生の声を聞くことができている。
要保護児童対策に力を入れており、効果も
出ている中標津町の児童館だが、そのことを
周 知 す る わ け に は い か な い と い う ジ レ ン マ
がある。児童館にレッテルが貼られてしまい、
課 題 の あ る 子 ど も た ち が 敬 遠 す る 場 に な っ
てしまっては本末転倒であるためだ。
⑧今後の活動に関する展望
地域住民が児童館を支えることにより、児
童 館 が 地 域 に と っ て 必 要 不 可 欠 な も の と な
る と 考 え て い る 。 そ の た め 更 な る 周 知 広 報 、
特 に 児 童 館 活 動 に 参 加 す る こ と に よ っ て の
理解促進が重要となる。実践例としては、児
童 館 祭 り で も 児 童 館 や 大 き な 建 物 に 留 ま る
のではなく、町内を巡回するシャトルバスに
「児童館」の文字をラッピングした上で走ら
せるなど、目を引く取組をしている。大人に
認知されることが重要であり、子どもの来館
促進にもつながるし、支援者の輪を広げるこ
とにもつながっている。
子 育 て 支 援 室 長 が 長 ら く 児 童 館 長 を 兼 務
し、実績を上げてきた。長期間に亘り、児童
館 を 核 と し た 子 育 て 支 援 体 制 を 構 築 す る こ
とができているが、これをどのように引き継
いでいくのかが、次のステップとなる。町民
が 多 様 な 形 で 児 童 館 に 接 点 を 持 っ て い る が 、
こ れ を フ ォ ー マ ル な 仕 組 み に も 参 画 し て い
くことを更に拡充することで、児童館を守る
体制づくりができていくと考えている
3.東京都葛飾区
① 葛飾区と児童館
東京都葛飾区は、特別区の1つで、23 区の
東側、荒川に面し、荒川区、足立区、江戸川
区、千葉県、埼玉県2市に隣接している。区
れる公園等もあり、南北にJR線2線、中心
に京成線が走り、都心への通勤・通学にも至
便な住宅地域である。人口は 460,423 人(平
成 30 年1月1日現在)、0~14 歳は 54,215
人と増加傾向にある。
児童館は区内に 27 館あり、全て公設公営
である。区を7つの地域に分け、その中核と
なる基幹型児童館が7館(各地域に1館)、地
域型児童館は 20 館が設置されている。27 館
の内、2館が中高生対応型児童館である。放
課 後 児 童 ク ラ ブ は 館 内 併 設 の 区 立 学 童 ク ラ
ブ 24 カ所、小学校内等実施の私立学童クラ
ブ 63 カ所で運営されている。平成 14 年度
か ら 始 ま っ た 小 学 生 の 放 課 後 を 地 域 住 民 の
見守りで運営する放課後子ども事業(わくわ
くチャレンジ広場)は、現在、区内 49 の全
小学校で実施している。
○葛飾区における児童館/子育て支援施策の特徴的活動について
葛飾区は、地域の中核である「基幹型児童
館」7館において、平成 27 年 10 月から母
子健康手帳の交付を始めた。交付と合わせて
児童館内で、妊婦の「ゆりかご面接」を実施
するため、各基幹型児童館に看護職(保健師、
助 産 師 等 ) を 週 5 日 の 非 常 勤 と し て 配 置 し 、
個 別 面 談 が で き る 相 談 室 を 整 備 し た 。「 ゆ り
かご面接」は約 30 分間、所定の書式に基づ
き、看護職が行う。面接はハイリスク妊婦の
スクリーニングに活用し、子育てに課題が予
測される妊婦の早期発見・早期対応につなげ
ている。また、産後以降の子育て相談を含め、
看護職と児童指導員(児童厚生員)が、相互の
知識や経験、専門性を生かして活動をしてい
る。
基幹型児童館では、妊産婦と家族を対象に
した講座や、子育て支援に関わるイベントを
開催して、妊娠期や出産後も気軽に子どもと
一 緒 に 利 用 で き る こ と を 知 っ て も ら う き っ
かけづくりを行っている。つまり住民は、児
童館という身近な地域施設で、看護職や児童
指 導 員 に 子 育 て 相 談 が で き る 仕 組 み に な っ
ており、出産前から児童館を知ることで、妊
娠・出産から子育てへと児童館の活動に参加
しやすくなり、行政としても親子共に切れ目
のない支援を可能にしている。
②葛飾区が子育ての拠点を児童館とした背景
葛飾区 の児童 館の主 な利 用者は 0~18 歳
未満の子どもである。ここ 15 年ほどの利用
実態をみると、そのうち、乳幼児親子と小学
生が約9割を占めている。しかしながら、民
間子育てひろば事業、放課後子ども事業と利
用者の重複もあり、年間利用児童数は減少し
ている。とりわけ、放課後子ども事業が普及
してきた平成 17 年以降からの小学生の大幅
な利用減少が目立つ。一方で、児童館で行っ
ている乳幼児事業「のびのび広場」の利用者
は、ゆるやかに減少しているものの一定の利
用があることから、在宅で子育てをする家庭
の支援として需要があると見込まれた。これ
ま で 基 幹 型 児 童 館 は 乳 幼 児 を 中 心 に 育 児 不
安の解消等を目的とした事業を行うなど、在
宅 家 庭 の 子 育 て を 支 援 す る た め の 中 核 を 担
うほか、子育て支援施設や関係行政機関等と
これらの状況を踏まえ、葛飾区は、これま
で の 児 童 館 の 役 割 を 見 直 し つ つ 児 童 館 機 能
の集約及び強化を図り、地域の子育て支援拠
点施設として整備することとした。
また、より地域ニーズに適合した施設とし
て整備していくため、子育て支援総合窓口設
置の拡大(母子健康手帳の交付を含む)や、一
時預かり事業、保育園の給食体験事業、地域
の 子 育 て 力 向 上 を 図 る た め の 取 り 組 み な ど
新たな事業の検討を行い、今日的なニーズに
寄 り 添 っ た 支 援 が 出 来 る よ う に 準 備 を 進 め
ている。
③葛飾区における児童館の活動内容
葛飾区の児童館は、以下の活動を行ってい
る。
1 )母 子 健 康 手 帳 の 交 付 と 、 マ タ ニ テ ィ パ
スの交付(母子健康手帳交付時やゆりかご面
接時に交通系ICカードを配布し、通院・日
常生活等の妊婦の外出支援をする。)
2)妊娠・出産・育児相談
3)乳幼児を対象とした育成・支援(年齢別
活動などを含む。)
4 ) 妊 産 婦 と 家 庭 を 対 象 と し た 各 種 講 座
(産前産後の親、赤ちゃんの健康、育児支援
のための講座)
5 )小 学 生 を 対 象 と し た あ そ び の 広 場 、 季
節行事
6)出前児童館(児童指導員が「放課後子ど
も事業」に出向き、運営する区民と協力して
プログラム指導をする。)
7)事業でのボランティアの活用・育成、各
関 係 機 関 と の 連 携 ( 小 学 校 や 中 学 校 を 含 む )
上記の1)、2)については、基幹型児童館
が実施している。
また、3)は、区民対象とした「産前・産
後ママのための児童館子育て講座」を開催し
ている。産後ママが参加できる講座は「産後
30 日~120 日」と講座毎に参加可能な期間
を設け、その時期に必要な講座を企画してい
る。出産に向けた準備を行う講座や子育ての
知識や理解を深める講座、母親のリフレッシ
ュを目的としたものなど、種類が豊富である。
具体的な実施内容は、産前の「はじめまして、
赤ちゃん!」を初めに、産前・産後も参加で
きるものとして、「スタイづくり」「ヨガ教室」
「 赤 ち ゃ ん と ふ れ あ い ベ ビ ー サ イ ン 」「 ベ ビ
ー マ ッ サ ー ジ 」「 簡 単 ♪ 楽 し い ♪ 離 乳 食 を 作
ろう!」「ママ・パパ・赤ちゃんにとって心地
よいだっこ・おんぶ講座」「きれいママを目指
し て ! ピ ラ テ ィ ス エ ク サ サ イ ズ 」「 絆 を 深 め
る 親 子 体 操 」「 家 族 で 遊 ぼ う ! 心 と 脳 を 育 て
る赤ちゃんとの遊び」など、幅広く実施して
いる。これら講座の実施運営は、児童館在中
の看護職、児童指導員が行うものや、地域の
NPO団体や専門職等、人材活用を行ってい
る。
基幹型児童館では、これら事業を総称して
「すこやか子育て応援隊」と銘を打ち、区民
への周知用チラシを作成し、母子健康手帳の
交付時や児童館内に配置しているほか、ハロ
ーベビ ー教室 や 2 ヶ 月 児健診 の際に 紹介し
ている。
するきっかけ
葛 飾 区 版 ネ ウ ボ ラ 事 業 の 活 動 を 開 始 す る
き っ か け は 、 子 ど も 子 育 て 支 援 法 の 「利 用 者
支援事業(母子保健型)」と、東京都の「出産・
子育て応援事業」の目的に掲げてあるように、
「 妊 娠 期 か ら 子 育 て 期 ま で 切 れ 目 の な い 支
援を実現するため」である。
葛飾区においては、これまで母子健康手帳
の 交 付 場 所 は 区 役 所 や 区 民 事 務 所 な ど 数 多
くあったが、これらの場所は何か用事があっ
て初めて足を運ぶ場所であることから、母子
健康手帳を渡したら、そこで妊婦との関係性
は終了するというように、支援の継続性に欠
けるという弱点があった。
そこで、葛飾区は区内8カ所の区民に身近
な子育て施設(7児童館と子育てひろば1カ
所)で母子健康手帳の交付を開始するなど妊
産婦事業の強化を図った。葛飾区の基幹型児
童 館 は 第 2 週 又 は 第 4 週 の 日 曜 日 の い ず れ
か が 休 館 日 ( 各 基 幹 型 児 童 館 に よ り 異 な る )
であるが、ほぼ毎日開館している。こうした
区民の利用がしやすい児童館には、保育士免
許 を 有 し た 子 育 て の 有 資 格 者 が 配 置 さ れ て
いるほか、保健師や助産師、看護師などの資
格を有する職員を雇用することによって、子
どもの育児・健康の両面からアプローチを可
能としてきた。子育て世帯の不安や心配事は、
出産の備えや産後の授乳や育児、子どもの疾
病や発育、友達関係など、子どもの発達段階
に応じて日々変化していく。こうした背景を
見据えて、子育て支援の充実を図るためには、
できるだけ早期に妊婦や、子どもとその保護
者 と 顔 の 見 え る 関 係 づ く り を し て い く こ と
が望ましい。こうしたことから、これまで地
域 の 子 育 て 支 援 を 支 え て き た 児 童 館 で 母 子
健康手帳の交付を開始した。出生前からの取
り組みである「母子健康手帳の交付」を児童
館で開始し、そこに看護職を常駐させたこと
は 全 国 で も 例 が な く 特 質 す べ き 活 動 と い え
る。
⑤活動を実施するうえでの他機関との連携方法について
葛 飾 区 版 ネ ウ ボ ラ 事 業 を 推 進 し て い く た
め に 、 連 携 や ネ ッ ト ワ ー ク づ く り の 基 礎 は 、
所 管 課 で あ る 保 健 セ ン タ ー や 母 子 健 康 手 帳
の 交 付 に 関 す る こ と を 管 轄 す る 子 ど も 家 庭
支援課の役割が大きい。関係機関は、月1回
の連絡調整会議を行い、基幹型児童館や保健
センター、子ども家庭支援課と情報共有を行
う。また、個別具体的なケースであるハイリ
ス ク 妊 婦 に つ い て は 地 区 担 当 保 健 師 に 情 報
をつなげる。具体的な実施例としては、母子
健康手帳交付時にゆりかご面接を行い、本人
が 望 ま な い 妊 娠 で あ る こ と を 吐 露 し て い る
場合や、若年妊婦、高齢妊婦で母体への影響
が心配されるケース、面接者が気になったこ
とや気になった言動があった場合など、子ど
も の 出 産 後 に お け る リ ス ク 管 理 な ど も 踏 ま
えて、スクリーニングを行い、ハイリスク妊
婦として分類された場合は、保健センターへ
の連絡を必須としている。ハイリスク妊婦の
その後の支援は、地区担当保健師を中心とし
て保健センターに移行する。保健センターの
地区担当保健師は、家庭訪問のほか、2ヶ月
児の会や乳幼児健診、1歳6ヶ月児健診など
一 方 で 保 健 セ ン タ ー が そ の 後 ど の よ う な
支 援 を 行 っ て い る か 基 幹 型 児 童 館 へ の 情 報
提供はされていない。「ゆりかご面接」を基幹
型児童館で行った妊婦が、出産後、子どもを
連 れ て 児 童 館 へ 遊 び に 来 た こ と が あ っ た が 、
この親子に対して、保健センターの支援が継
続しているのか確認ができず、どのような点
に 注 意 し て そ の 親 子 に 関 わ れ ば よ い の か 戸
惑ったというケースがあった。事前に情報が
共 有 で き れ ば 、 よ り よ い ケ ア が で き る た め 、
守秘義務などの高いハードルはあるが、それ
ら を 乗 り 越 え て い く 必 要 性 が あ る と 児 童 館
は切望していた。
なお、その他、ハイリスク児以外の乳幼児
は 、 保 健 セ ン タ ー は 2 ヶ 月 児 ま で を 担 当 し 、
それ以降は児童館が担当している。
⑥ 活動の効果・成果について
葛 飾 区 版 ネ ウ ボ ラ 事 業 の 効 果 と し て 考 え
られるのは、以下の3点である。
1つは、妊娠初期から出産後の子育てを視
野 に 入 れ た 支 援 を 早 期 に 開 始 す る こ と に よ
り、母子の健康の保持及び増進、出産や育児
に関する不安の解消をすることができる。ま
た、その場所の一つを児童館においたことで、
親子の身近な場所で、地域の人々や専門職と
つながることができることは、子育てをキー
にした地域の活性化を図ることもできる。ま
た、児童指導員と看護職の連携、協働により、
お 互 い の 専 門 性 を い か し た 利 用 者 の 関 わ り
や考察ができ、より適切な支援に繋げること
ができる。
2つめは、妊娠や子どもの出生をきっかけ
に、出産、子育て、教育に係わる機関が協力
して、全ての母子とその家族の健康作りや子
育 て 支 援 の 環 境 整 備 が す す ん だ こ と で あ る 。
区が実施した「葛飾区政策・施策マーケティ
ング調査」では、「葛飾区で安心して子育てが
できると思いますか?」の問いに「はい」の
回答が平成 27 年は 55.3%、平成 28 年は
59.2%、平成 29 年は 62.2%と、年々、葛飾
区で子育てすることに、区民の安心感が向上
している結果が得られていることからも、子
育 て 支 援 の 施 策 に 対 す る 効 果 が あ る こ と が
わかる。
3つめは、こうした成果をもとに、子ども
を も つ フ ァ ミ リ ー 層 の 定 住 促 進 と 出 生 者 数
の増加に寄与すると推察できる。
参考:平成 27 年 4 月 1 日現在 乳幼児人
口 21,995 人 0-14 歳 54,067 人
平 成 29 年 4 月 1 日 現 在 乳 幼 児 人 口
22,197 人 0-14 歳 54,142 人
⑦ 葛飾区版ネウボラ事業の課題(児童館の課題)について
葛飾区版ネウボラ事業の課題(児童館の課
題)として考えられるのは、以下 3 点である。
1 つ め は 、 看 護 職 の 配 置 に つ い て で あ る 。
児童館に保健師や助産師、看護師の配置は例
を見ないことから、人材の確保と育成の必要
性がある。看護職は、子どもやその保護者の
健康面を下支えするための指導・助言といっ
た専門性だけでなく、利用者の話に耳を傾け、
必要な助言を行う技術が求められる。子ども
の両親やその家族に寄り添い、共に子育てを
考え、子育て中の世帯を支えていく活動が求
理 解 や 更 な る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 が 求
められる。
2つめに、児童館を含む看護職の配置があ
る 母 子 健 康 手 帳 の 交 付 窓 口 で の 交 付 件 数 が
少ないことである。チラシ配布や広報紙の掲
載、区ホームページを活用した紹介など、幅
広く区民周知を行っているが、区民に届いて
い な い の で は な い か と 担 当 者 は 推 測 し て い
る。児童館等、子育て施設での交付が、安心
し て 子 育 て に 向 き 合 う き っ か け と な っ た と
利用者が語りつぐような、新たな取り組みが
必要になるものと思われる。
3つめは、ハードウエアの整備である。面
談室については、これまで倉庫として利用し
て い た ス ペ ー ス を 早 急 に 整 備 し た こ と も あ
り、利用者が安心して面談を行える空間とは
言い難い。また、葛飾区では児童館を保育園
や 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ 施 設 と の 併 設 で 整 備 し
てきたことや、建設当初は小学生以上の利用
を想定した造りとしてきたことから、児童館
自体が階上にあるほか、エレベーターの設置
がない建物がほとんどであるため、妊婦やバ
ギ ー 利 用 者 が 利 用 し に く い な ど バ リ ア フ リ
ーの施設ではない。また、児童館内の諸室を
見 渡 し て も 従 来 の 児 童 館 活 動 を 行 う た め の
諸室構成であるため、妊産婦事業や乳幼児事
業 を 実 施 し て い く た め に 必 ず し も 適 し た 環
境ではない。現在は運用上の工夫を凝らして
乳幼児事業の展開を行っているが、在宅家庭
への支援は、依然としてニーズが高く乳幼児
親子が安全・安心に活動ができいつでも利用
できる専用室は、今後求められるニーズと考
える。
⑧今後の活動に関する展望
先に述べた課題にあるとおり、看護職の配
置 を 行 っ て い る 母 子 健 康 手 帳 の 交 付 窓 口 へ
の誘導策が求められる。平成 30 年度から、
母 子 健 康 手 帳 交 付 時 に 看 護 職 と の 面 談 を 実
施 し た 妊 婦 に 妊 娠 子 育 て 応 援 券 の 配 布 を 行
うことで、看護職配置のある交付場所への届
出を誘導していくことで、妊娠期における面
接率の向上を図る。このことによって妊娠期
か ら 顔 と 顔 が 見 え る 関 係 を よ り 一 層 築 け る
ように目指している。
2つめは、各基幹型児童館で実施している
妊産婦講座の課題等を整理し、より利用者ニ
ー ズ に あ っ た プ ロ グ ラ ム 活 動 を 展 開 す る こ
とである。例えば、お子さんが産まれた時期
に関わらず、必要な時期に必要な知識を得ら
れることが求められるが、現在の児童館のプ
ロ グ ラ ム は と り わ け 保 育 園 と の 協 同 事 業 や 、
保健センターの保健師の講話、外部講師など
を依頼するケースが多く、年間に1回や2回
し か 組 め な い 事 業 も 数 多 い 。 通 年 を 通 し て 、
実施していく方法を模索し、産まれた時期に
関 わ ら ず 同 様 の サ ー ビ ス が 受 け ら れ る よ う
にしていくため、これらの講座の見直しや児
童 館 と 関 係 機 関 と の 連 絡 調 整 を 行 う 職 員 と
して、看護職を育成課に配置することを計画
している。
3つめは、保健センターと協力をして面談
内容の標準化を図っていくことである。他機
関との情報共有を行ううえで、共通の認識に
たつことの意義は非常に大きい。そうしたこ
とからも、面談内容の精査、相談記録の記入
4.東京都品川区
①品川区の児童館等の施策について
東京都品川区は、特別区の1つで、江戸時
代には東海道第一の宿として栄え、現在は 14
路線 40 駅を擁する交通の要所となっている。
都心に至便な住宅地域であり、商店街が数多
くある。また、オフィス街、臨海部の港湾な
どもあり、昼間人口も多い。人口は 385,122
人、うち0~14 歳は 43,577 人(いずれも平
成 29 年4月1日現在)となっている。
児童センターは区内に 25 館(うち、1館は
児童厚生施設としての届け出はないが、他施
設 同 様 に 児 童 セ ン タ ー の 名 称 で 活 動 ) あ り 、
全て公設公営である。25 館のうち、12 館につ
いては一部業務委託の形式をとり、民間企業
等に児童館事業の運営を委託している。
教育政策としては、全国に先駆けての小中
一 貫 教 育 の 導 入 や 学 校 選 択 制 な ど の 取 組 が
あ る 。 区 立 の 小 学 校 な ら び に 義 務 教 育 学 校
(前期課程)は 37 校、中学校ならびに義務教
育学校(後期課程)は 15 校あり、このほか私
立学校がある。
放 課 後 児 童 ク ラ ブ は 放 課 後 子 ど も 教 室 を
一体的に運営する形で、区独自の全児童放課
後等対策事業「すまいるスクール」で実施さ
れている。1~6年生を対象にして、祝日・
年末年始を除く月~土曜日に開設。午後5時
以降の時間延長(放課後児童クラブ機能、最
大午後7時)では間食提供もある。休日は午
前8時 15 分からの開所である。これは区立
の 全 て の 小 学 校 な ら び に 義 務 教 育 学 校 に 設
置されている。
②品川区における児童センター/子育て支援施策の特徴的活動について
多様な取組が実践されているが、ここでは
2つの活動について取り上げる。
1つは、要保護児童対策地域協議会(以下、
「要対協」と略す)との関係性である。区で
は「品川区虐待防止ネットワーク推進協議会」
を設置し、児童虐待のほか、高齢者虐待、障
害者虐待、配偶者暴力(DV)に関する事項に
ついて対応している。児童福祉施策上、この
推進協議会は、要対協の代表者会議に位置づ
けられている。要対協の実務者会議は「地域
分科会」と呼ばれている。13 地区の児童セン
ターが事務局となり、要保護児童等の対応に
ついて協議し、顔が見える関係づくりを地域
単位で実施している。推進協議会は年に1回、
地域分科会は各地区1回、計 13 回実施され
ている。
13 の児童センター(館長館と称している)
は、区の正規職員である館長を配置し、エリ
ア内の業務委託している児童センター(委託
館 と 称 し て い る )、 す ま い る ス ク ー ル の 管 轄
をしていることから、子どもに関する情報を
多 く 持 っ て お り 、 地 域 分 科 会 だ け で は な く 、
日常的な見守り、早期発見等に積極的に関与
できる立ち位置にいる。
要対協ならびに、児童センター、すまいる
ス ク ー ル の 組 織 体 制 に つ い て は 図 の 通 り で
ある。